島精機創業者と「クモの巣」

島精機製作所というと一般の人には馴染みのない会社かもしれない。
和歌山市に本社を置く会社だが、ニット製品の編み機では世界のトップ企業といえる。コンピューター制御の截断機など独創的な周辺機械も含めた製品は、業界では突出した存在で、私が数十年前から注目している地方のオンリーワン企業である。

近年開発販売された「ホールガーメント」と呼ばれる無縫製ニット製品編み機は、アパレルのサプライチェーンマネジメントに革命をもたらす可能性のある編み機で、従来各パーツをつくってそれを縫い合わせることで成り立っていた製品が、最初から最後まで連続したコンピューター制御の編み機で縫い目や接合部が無く作られる。

現在はコロナの影響でアパレル関連はどこも厳しい状況にあり島精機も例外ではないが、これらの独創的な製品が必ず復活に寄与すると思っている。

この島精機の創業者が独自の編み物機械を発明してきた島正博さんで現在日経新聞に「私の履歴書」を10日間連載されており、その中に私もなる程と感じた当人いわく「クモの巣理論」が書かれてあった。

島さんが若いときに目にしたクモの巣で、クモはいつも巣の真ん中に陣取り獲物がかかると捕獲してまた中央へ戻る。どこへ行くにも最短距離。
「真ん中にいれば常に360度を見渡せ獲物への距離も近い、原点に戻ることが大切で、開発に行き詰まったときなど迷わず初心に戻りリセットする。」
と語っている。

この理論はゴルフでも一部通じるものがある。「グリーンのどこにピンがあってもスコアーを縮める為にはピンを直接狙わず、グリーン中央をいつも狙う方がよい」という考え方である。

父親を失くし戦後の焼け跡で、家族を養い生き延びるために苦労した実践家の述懐には説得力がある。

アスファルトの隙間に咲いている花。
図鑑を見るとピッタリは来ないがヒメスミレがいちばん近いような気がする。図鑑には「小さいスミレで道端や石垣の隙間などで見られる」とあるのだが?
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