中国銀河鉄道の旅②餃子の話

2019年8月18日のこの日記に、上海に駐在していた際の餃子の想い出等を書いたが、沢野ひとしさんの中国旅行記「中国銀河鉄道の旅」にも餃子の話が出てくる。

昨日のこの日記にも触れた、本の筆者の女友達「キタキツネ」のふるさと、中国黒竜江省竜江を訪ねた続きで、
土地の餃子をごちそうになる機会があり、まず近所の人も交えて餃子を大量に作っていく。
この生地を寝かせている間に日本に来て日本の餃子を食べたことのある「キタキツネ」が土地のみんなにしゃべる。

「皿の上にひっくり返された焦げた焼き餃子を出すのに驚いたが、ご飯がついてきたのにはもっと驚いた」
「まわりの日本人はご飯の上に餃子をのせて当たり前のように食べており食文化の違いに唖然となった」

ーーーこのくだりで、中国人の日本の餃子に対する見方がすごくよくわかる。中国ではあくまで餃子は主食で、それもほとんどの場合水餃子で皮も厚く、一つ一つが大きい。

日本の焼き餃子に近いものは中国では「貼鍋」と呼ばれる屋台料理で、文字通り、底の浅い鉄鍋に餃子を貼り付けて並べて焼いたもので、基本的にお客に出す料理ではない。

大阪にある「眠眠(みんみん)」や「王将」などの中華料理店で餃子を2人前注文すると厨房に「コーテル リャンガー!」と声がかかるが、このコーテルが「貼鍋」から来ている。
いわば「はりなべギョーザ二人前!」と叫んでいることになる。

餃子は日本ではギョーザというが、元の中国風に発音すると「ジアオズ」が近い。
以前の日記でも触れた事があるが、この本の中でもギョーザは山東半島辺りの方言「ギャオズ」が、山東省から旧満州に出稼ぎに出た人によって旧満州の日本人に知られ、その後日本に持ち込まれたと書かれている。

「キタキツネ」の家で作った餃子の餡は、豚肉、鶏肉、ナス、セロリ、トマト、等野菜だけのものも含めたくさんの種類があり、これらを沸騰した湯に放り込み、一度浮き上がったところで差し水し、再び沸騰させて完成する。

現役時代上海の工場で中国人社員と一緒に食べた水餃子も、沸騰した釜の湯に餃子を大量に放り込んでいた様子が、懐かしく想い出されてきた。
食器茶碗にいっぱいに盛られた水餃子の上からかけるタレも独特で、妙に忘れられない複雑な味がした。

◎近所の桜の木を見ると少しずつ芽がふくらみ始めている。花が咲くまでまだまだ1ヶ月以上はかかりそう。
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