堺名物「けし餅」

一昨日は何時もゴルフをご一緒するホームコースのメンバーに私の本「厚狭吉亭日乗」を計5冊を受け取って貰った。

その内のお一人は堺市のホームコース近くにお住まいで、現在ゴルフを中断されており、様子を伺いがてら短時間お邪魔させていただいた。
プレーには今しばらく時間がかかるようで、残念だが頑張って復帰して貰いたいと期待している。
私のブログも引き続いて見て貰っているとのことで、また本についても喜んで頂けて大変有り難い。

帰りにお土産までも頂いたのだが、その一つが「小島屋泰芳」という老舗和菓子屋さんの堺名物「けし餅」。
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「けし餅」とは恥ずかしながらこの歳で始めて出会った響きで俄然興味が湧き、先ずはコーヒーと一緒に一個いただいたが、餅と表面にムラなくまぶしてあるけしの実、それに小豆こし餡がうまくマッチして甘くとても美味しかった。

「けし粒ほどのもの」と言う小さなものを表現する言葉があるが、この表面にまぶしてあるけしの実の多量な微粒子を見ると、この言い回しの巧みな表現ぶりがよく理解できる。

興味が更に増し、和菓子屋さんのホームページやその他で調べて得られた新しい知識は以下の通り。

・けしというと、つい麻薬の原料になる芥子(けし)が思い浮かぶが、食用とアヘンの原料になるけしは別種らしく一安心。

・食用のけしの実はナッツ類の一種で種子を乾燥させたもの、
七味唐辛子、インド料理カレー(すりつぶして)、あんパンの上のツブツブ、等に使われる。ーーーここ迄来てけし餅を食べたときの感じがあんパンのツブツブとしてよみがえり納得。

・けしの実は室町時代、インドから南蛮貿易拠点・堺にもたらされ、江戸時代は堺周辺でも栽培されていた。
千利休を始めとする堺の茶の湯文化が茶菓子を育てる過程でけしの香味が和菓子に取り入れられた。

・この「けし餅」が誕生したのは延宝年間(1673~1681)とのことで4代将軍家綱~5代綱吉の治世になる。

・現在使われているけしの実はトルコ産。トルコの植物が和菓子の原料になっている不思議さ、面白さ。

・これも「けし餅」調べのお蔭で始めて知ったことだが、あんパンの上にのっている粒には2種類あり、けしの実がのっているのが「こし餡」、黒ゴマがのっているのが「つぶ餡」というのがパン業界の伝統になって中身を区別、分かりやすくしている。

◎和菓子の一つ一つや材料にも、面白い歴史と物語がある。