中断中のひとりごと・童謡詩人金子みすゞ

NHKBSスペシャルで、〈「こころの王国」~童謡詩人 金子みすゞの世界~〉と言う番組が放映され録画して観た。
これは1995年8月の再放送だと言うテロップが流れたが、現在観ても全く色褪せていない。

金子みすゞ山口県長門市仙崎の生まれ、私の生まれた山口県厚狭とはJR美祢線で結ばれている。
美祢線山陽本線厚狭駅を起点に山陰本線長門市駅まで、そこから仙崎支線一駅で仙崎に着く。

仙崎は観光名所でもある青海島が目前にあり、遊覧船や海水浴で賑わう。
また仙崎は県内有数の漁港であり江戸時代以前は沿岸捕鯨を行う鯨組の根拠地でもあった。

子供の頃、美祢線で青海島に行ったことや、漁師のおかみさんらしき人達が担ぎで魚を厚狭まで行商に来られていた事から、仙崎は非常に懐かしい響きの土地だが、もちろんその頃は金子みすゞのことなど知るよしもない。

然しいつ頃か名前を知るようになり、この日記でも2019、7、21に「こだまでしょうか」、2019、8、25「大漁」それぞれの詩について書いてきた。

番組ではその生い立ちから、人格形成、若くして自死に至るまでを、史実に基づいて淡々と描いていくが、そのなかで
[仙崎は漁業主体の生活であることから、生き物を殺生する罪悪感からくる、浄土信仰、阿弥陀仏信仰が盛んで、子鯨等は人間並みの供養が行われており、これ等が身近にあった事が金子みすゞの人間形成、「こころの王国」の形成に繋がっている]と言う見方は私にとって極めて説得力があると感じられた。

また祖母から聞いた昔話や浄瑠璃話、実家が本屋を営んだこともあっての、たくさんの読書も少女の内面の蓄積に繋がったようだ。

山口県は維新の志士や政治家を輩出し硬派のイメージが世間に強いが、この金子みすゞを含め、林芙美子中原中也種田山頭火等々、硬派からは程遠い文学者も多い。

「私と小鳥と鈴と」
「私が両手をひろげても、お空はちっとも飛べないが、
 飛べる小鳥は私のやうに、地面を速くは走れない。
 私がからだをゆすっても、きれいな音は出ないけど、
 あの鳴る鈴は私のやうにたくさんな唄は知らないよ。
 鈴と小鳥と、それから私、みんなちがって、みんないい。」 

金子みすゞは生前あまり知られた存在では無かったが、彼女が残した3冊の詩作ノートが、あるきっかけから世に出て評価される事になった。
記録することの大切さを教えてくれている。

今日の歩きは風と低気温で、今年初めて冬を感じた時間だった。途中道にせりだしている民家の寄せ植え。
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