「旅人よ どの街で死ぬか」

作家の伊集院静さんは、作詞家、CM作家でもあり、ギャンブルの道でも阿佐田哲也さんと深い親交がありこの事を「いねむり先生」と言う小説に書いている。

女優の夏目雅子さんと結婚して病気で亡くし、その後時間をおいて同じ女優の篠ひろ子さんと結婚している。何れも好感度高い女優だった気がする。
これらの事を含め伊集院静さんは私にとって不思議な人としか言いようがない。

同郷の山口県防府の出身でゴルフの趣味が同じ、BSの番組でヨーロッパやアメリカの有名ゴルフ場を訪ねてプレーされる番組を2度観たが、さすがのプレーでとても感心した。
またプレーの前日もホテルにこもり、夜遅くまで執筆されているのが印象的だった。

その伊集院さんがヨーロッパ各地や上海を訪ねて人生や出逢い、芸術、酒、ギャンブル、旅等について語る本「旅人よ どの街で死ぬか、」集英社刊 を読み終えた。
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なかなかこの本の中身をについて語ることは難しい気がするが、気になった文章をピックアップしてそれに代えておきたいと思う。

①弧であることは大人の男にとって大切なものである。
他人と連(つ)るむより、弧である時間のなかに潜むもののほうが価値がある。

②私がその少女に逢ったのは冬のパリだった。
出逢いから別離まで時間は瞬きをするがごときだった。彼女も少女から娘へ成長するときであったし、私自身も若かったせいもあるがともかく時間は瞬時に過ぎていた。
ーーーこれはどうも夏目雅子さんの事らしい。

③今でも私は旅に出かけると空を見上げて雲を眺める。
私はもう老人より高齢になった。私の背中を見る人はいない。
ただ私の見上げた空の雲間に、老人の姿があるだけである。
旅が好きな人だった。
ーーーこの老人は阿佐田哲也さんの事と思える。

この暑いなか、柿がもう実を付けている。
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