トルファンのピラフ

中国東北地方黒龍江省生まれで中国人ではじめて芥川賞を受賞した作家楊逸(ヤン・イー)さんが食にまつわるエッセイをまとめた「蚕食鯨吞・世界はおいしい、さしすせそ」を読み終えた。
f:id:kfujiiasa:20200608150655j:plain

中国を中心に世界の色々な食べ物、飲み物、調味料などがこれでもかと言う具合に100種類位、出てくるが、これらの内で読んでる内に食べたくなった第一が「トルファンのピラフ」である。

中国人なので「トルファンのチャーハン」と呼んでも良さそうなのだが敢えてピラフと言っているのは厳密にピラフ(炒めた米を炊く)とチャーハン(炊いた米を炒める)の違いにこだわりがあるのかもしれない。

トルファン(吐魯番)は言わずと知れた中国の西域、新疆ウイグル自治区の街でシルクロード沿いにあり西遊記の舞台近くでもある。
天山山脈からの雪解け水で糖度の高いブドウ栽培が広く行われ、料理に砂糖が欲しいときはブドウで代用するらしい。

トルファンでは食事の度にピラフが出てくるとのこと、羊肉、野菜、干し葡萄、が定番で特に干し葡萄と羊肉の相性がとても良いらしく文章だけで旨そうに思えてくる。
中国では肉と言えば一般に豚肉の事だが、農耕民族の漢族と違いウイグル族イスラム遊牧民族で豚肉は禁忌である。

アジアではどこに行っても焼き飯文化(炊く、炒めるの順序は別にして)があり、
例えば中国では、揚州チャーハンのように地域の名前を冠して名物になったり、
タイではカウパットで焼き飯を表し、その次で具に何を入れるかを表す、例えばカウパットクンはエビ入り焼き飯、カウパットムーで豚肉入り、カウパットプーは蟹が入っている。
ちなみに私の定番はカウパットプーであった。

またインドネシア特有の焼き飯はナシゴレンと言い、少し甘めで濃い味がする、等々。

アジア圏の米文化は何とも広くて深いものがある。