英国首相の発言と元外交官・岡本行夫さんの教え

5月11日のこの日記「岡本行夫さんの訃報」で元外交官の岡本さんが生前、香港のデモや民主化要求について香港を中国に返還した条約の当事者であるイギリスが、何故声をあげないのかを問題視されていたことを書いた。

今日の日経電子版や、朝日新聞でイギリスのジョンソン首相が今、大きな課題になっている中国の香港自治への関与につながる「香港国家安全法制」に関して、もしこれが撤回されないなら、英国が香港住民750万人の4割に当たる約250万人(朝日新聞では290万人)に英国での市民権取得につながる施策を打ち出す方針を示し国家安全法制に抗議する姿勢を明確にしたことを報じている。

ジョンソン首相はイギリスのEU離脱ではポピュリズムを煽るような感じがあり、少し印象が悪かったが今回のニュースではイギリスの経済的な面の不利益を省みず、よくぞ言ったと正直見直してしまった。

この背景には今回のコロナウイルス騒動での中国の動向に対する不満があるとも言われているが、其れにしても亡き岡本さんの的確な指摘や見通しがここに活きており、さすがの思いで本当に敬服してしまう。

何れにしても英国のこの動きは中国及び香港のこれからに対し大きな牽制になることは間違いない。

外交官は現地で特権的な暮らしを享受している等と批判的な見方をされることも多いが、この事例のように大局的な見地からあるべき姿や方向性を示し将来を見通すことができるのも、色々な国の内情に通じる外交官の特質であり、岡本さんのような外交官が一人でも多く日本にいることが、また育ってもらうことが、これからの日本が世界の中で生きていく上で重要なファクターとなることは間違いない。