鉄鋼スラグの活用

製造業のことなら大概の知識があると思っていたが製鉄の過程で出る副産物、鉄鋼スラグが大量に資材として活用されていることは全く知らなかった。

コメダ珈琲店での週刊新潮に「SDGs(持続可能な開発目標)の時代に」と言う広報記事があり、今回はこの鉄鋼スラグの有効活用について対談形式で説明がされており、久し振りに得難い勉強をした気分になった。

統計資料を見ると、鉄鋼スラグは2種の生産過程で産み出され、一つは高炉で銑鉄を作る際に出るもので高炉スラグと呼び日本で、年間2200万トン、(別の統計から試算してみたが高炉から生産される銑鉄量の約20%が鉄鋼スラグ生成量になる)もう一つが銑鉄や鉄スクラップから鋼を作る際の製鋼スラグで年間1400万トン、生成される。

成分は何れも鉄鉱石、コークス、石灰由来で構成されており、その量が半端でなく活用が必須であることがよくわかる。

この内、高炉スラグをコンクリートの素材として活用すると
・例えば下水処理場のコンクリートバクテリアによって硫酸が発生劣化するが、耐酸強度が強くなりこの劣化速度をを遅く出来る。
・冬高速道路では凍結防止で塩分を散布するためコンクリートが塩に溶けて土砂化するがこの土砂化現象を抑制出来る。

また製鋼スラグは海洋環境保護のための藻場の造成に役立つ。等、組成に応じた効果を得られるらしい。

現時点では高炉スラグの超耐久コンクリートへの活用は工場生産のみだが、生コンで現場打ちする取り組みも進んでいるとのことである。

鉄鋼業界は中国の過剰生産で厳しい状況が続いており先日も日本製鉄が高炉の廃止を含む統廃合を発表した。量の方はともかく質的には日本の鉄はまだまだ世界をリードする存在であり、循環型社会へ向けた動きなど日本の基幹産業としてずっと存在感を保っていてほしい。