スパルタカス

遅まきながら米国の俳優カーク・ダグラスさんが亡くなられた事を知った。103歳と聞いて納得しつつ俳優でこれほど長命も珍しいと思ってしまった。

一度観たら忘れない個性的な顔立ちで、顎のところの凹み(?)が特徴、顔の輪郭は映画「ウォール街」で観た息子の俳優マイケル・ダグラスにしっかり受け継がれている。

カーク・ダグラスは「OK牧場の決闘」等多数の映画に出演していたとの事らしいが私は全く観た覚えがなく、私の記憶は大作「スパルタカス」で埋め尽くされている。

スパルタクスの反乱」は紀元前のローマ帝国史に実際に刻まれた剣闘士と奴隷の大反乱で、カーク・ダグラスはこの実在の反乱指導者で剣闘士奴隷のスパルタクスを演じて素晴らしい存在感を示した。

奴隷同士で切ない恋をして引き裂かれる場面では私がまだ若かったせいかもしれないが、観ていて本当に痛ましい辛い感じが伝わってきた。

また黒人剣闘士との闘いで敗れ殺されそうになった時、相手の黒人剣闘士がその槍を、笑いながら闘いを観ている支配者に投げて自身が殺されてしまう場面の、剣闘士どうし互いの心情も痛いほど感じられた。

多くの戦争場面も当時としては類をみない程のスケールだったがこの過程を経て、最後に十字架上で磔にされ死んで行く途中、息子と妻が自由を得たことを知る場面は観ている側の救いでもあった。

私はこの「スパルタカス」しか俳優カーク・ダグラスの記憶はないのだが、ただ此の一作だけで充分その存在を受け止める事が出来ていると思う。