国産ジェット機の行方

三菱重工業の国産ジェット旅客機「スペースジェット」が正に剣ヶ峰に立たされている。
私の感覚ではこのプロジェクトの成否は日本の製造業の先行指標になるのではと早くから思い、ずっと注目している。
然し周りの期待に反して納期は5度も延期され、三菱重工業は既に6000億円以上の負担をしているとの情報もある。

ここに来てマスコミ各社の情報が錯綜しているのは、現在の納期が今年半ばとされていることと、設計変更に対応した型式試験用機体が年明けようやく完成したことに依り現在の納期が守れるかどうか極めて微妙な局面にあるからだと思われる。

世界でも数社しか参入出来ていない、部品点数100万個に及ぶ旅客機生産販売事業に新たに参入する生みの苦しみ、関係者の、のたうちまわる苦悩を目の当たりにしている気がする。

5度目となる今年半ばに納期をずらした原因は、機体の一部に損傷が発生しても、機体の制御が維持可能となるよう制御機器を機体の前後に複数設置(従来は一方だけに設置)してその間をケーブルで接続した変更にあるとメディアが伝えている。

私など飛行機の素人から見ても安全制御フェイルセーフの観点で妥当な事とは思うが反面これが大規模な機体の変更になるのは容易に想像出来る。

不思議なのは何故今頃このような基本設計に関わる重大変更を必要とするのか、設計者の安全基準に対する理解が最初から不足なのか、途中から基準が変わったのか、試験途上で何か問題発生したのか大いに疑問があり詳しい情報を知りたいものだ。

何れにせよビジネスとして成立するにはまだまだ紆余曲折がありそうだが、ここは我慢の「胸突き八丁」ぜひ頑張って日の丸プロジェクトを完成させて貰いたいと切に思っている。