デジタル通貨リブラ

ビットコインをはじめとする仮想通貨はブロックチェーンという新しい技術を用いて一時期注目されたが、価値が乱高下して当初想定された世界横断的な支払手段から投機目的の資産に変質してしまった。

去年のビッグニュースの一つであったフェイスブックが主体となるデジタル通貨リブラは、自分なりに学習した結果、当初これで通貨の世界が変わるのではないかと思わせる程のインパクトがあった。

この構想には仮想通貨の問題点、
1、管理の主体がない。
2、準備資産がなく現行通貨との連動性がない。
3、発行量が機械的に定義され需要に対する柔軟性がない。
などを、フェイスブックを初めとした大企業の出資するリブラ協会が、各国通貨で用意した準備資産を元に発行量等を管理し、更にその準備資産の運用で収益を出す。
と言う方法で帳消しにする制度設計がなされている。

然しこの優れた制度設計がかえって国の持つ基本的権利である通貨発行管理の権限を侵害するのではないかと疑われ、更にはセキュリティ問題もあり、フェイスブック側は各国承認、特に基軸通貨ドルを持つ米国の理解を得られるまで発行を待たざるを得ない状況に置かれている。

巨大企業が国の基本的な活動領域迄踏み込んで来ている事は衝撃的だが、為替を必要とせず経済活動が行われるとするとその効果や影響は計り知れない利点があると思われる。然しそれによって国の通貨政策による経済のコントロールに支障が出ることも考えられ予断を許さない。

経済が専門ではないので単なる個人の予見だが、デジタル通貨が単独で又は覇権国家と結び付き新たな経済覇権を誕生させるのはほぼ間違いないと思われ、それは直ぐそこに来ている様な気がする。
その時各国通貨の形はどうなっていくのか、また個人としてどう対応すべきか今年は目が離せない。