ベネチアの浸水非常事態

イタリアの水の都ベネチアで高潮や雨の影響で広範囲に市街地が浸水して大きな被害が発生しておりイタリア政府が非常事態を宣言したニュースが流れている。

写真を見ると有名なサンマルコ広場でさえ膝近くまで水が来ており、また電気設備への浸水で感電死亡事故も出ているらしい。

およそ20年位前と思うが仕事で北イタリアにある部品メーカーを訪ねた折り、先方の好意でアドリア海に面したベネチアを丸1日ガイドしてもらった。

訪問した季節も少し肌寒かった記憶があり今と同じ高潮の出易い秋口だったかもしれない。正直に言うと水の都というより水浸しの街という印象で一過性の観光客にはゴンドラに乗ってゆったりと巡る歴史の街でいいかもしれないが、住んでる家々の玄関口まで常時海水が迫っており湿気といい塩気といい、とても日常的に住める所ではないと思えたのが私の印象だった。

日本人がベネチアを理解するのに一番相応しい本はイタリア在住の塩野七生さんが書かれた「海の都の物語」と思うが、人びとがやむを得ず海の潟に木杭を多数打ち込み、その上に街を作り遂には海洋国家として君臨し、周辺を圧倒した興亡の歴史が迫ってくる。然し人は治める事が出来ても自然を治めることは更に難しい。

現在、イタリアも危機に立ち向かうべく、大規模な防潮堤の建設を進めているらしいが、工事のスピードが温暖化等の環境変化のスピードに追いつけてないのではと心配になって来る。