「最低賃金」論議

今週の朝日新聞経済欄の「経済気象台」というコラムに「山人」のペンネームで書かれている文章は日頃の私の認識不足を思い知らされた。

このコラムは第一線で活躍中の経済人や学者すなわち新聞記者でない人が執筆しているもので掲載時は必ず読むことにしている。

最低賃金論議への違和感」と題し、以下①ー③の要旨で述べられている。

①低賃金によってしか経営が成り立たないとするならば問題は企業にあり、どうしたら生産性をあげるべきかを考えるのが先決。

②政治家は最賃引き上げを自身の実績として喧伝するが、彼らは低賃金雇用が大きく広がっている現実から目をそらしている

・最賃は03ー18年度に32%増えたが全労働者賃金の中位数(中央値)は同期間2%減った。その結果中位賃金と比較した最賃の水準は45%から62%に高まった。すなわち全体の賃金が最賃にさや寄せされつつある。

③その責任はイノベーションを怠り短期的な収益回復のため賃金引き下げに依存してきた企業、規制緩和等でそれを後押しした政府、それらを支持してきた市場やエコノミストにある。

◎特に②項は目からウロコとはこの事か。東京、神奈川の最低賃金が時給千円を越えたニュースが流れ、政府の後押しもあり賃金上昇もようやく定着してきたように私自身、受け止めていたが03ー18年の間、中位の賃金が2%減って最賃にさや寄せしているという指摘には正直驚いた。然しこれではデフレ脱却どころか結果的に財政再建にも悪影響で次世代に悔いを残す。出来ることは限られるがその一歩として正しい状況認識から始めようとあらためて反省した。