昨日の、産経や日本経済新聞等に発表された日産自動車の新しい板金加工の技術にはとても興味がある。
日産自動車は昨今マイナスイメージのニュースばかりだったが久々の良いニュース。
通常、自動車のボデイパネルのような大きく複雑な形状の部材は、薄い金属板を、金型を据え付けたプレスマシンで強い力を掛けて成形していくが、この金型製作には高い精度と時間、莫大な費用がかかる。この為大量生産の場合は一台当たりの金型費用が薄まるが、少量生産の場合は極端にコストが高くなり採算が合わなくなる。
今回紹介された技術は「対向式ダイレス成形」と呼ぶらしいがダイ(金型)レスの名の如く高価な金型が不要で棒状の工具を付けたロボットが、固定された金属板の両側から切削加工で成形していくもので、工具表面をダイヤモンドコーティングして低摩擦化することと制御技術の向上が実用化への決め手に繋がったらしい。
3次元の図面があれば金型を廃棄してもボデイパネルが生産できるので、まず旧型の補修部品製作に活用し、切削速度が向上すれば月産1千台以下の高級車量産への導入を検討していくとの事である。
マスコミ発表の写真では詳細は分かり難いが前後の説明からすると、板金加工版3Dプリンターとイメージするのが良いかも知れない。
今後はあらゆる業種で、多品種少量生産が基本的な流れであり重要な加工技術に成長する可能性があると思う。
日本はデジタル技術で遅れを取ったがこのような加工技術こそ変わらず優位性がある。