4ー5年前にフランス人経済学者のトマ・ピケテイ氏が「21世紀の資本」という本を出し世界中のマスコミ、もちろん日本も含めてだがその結論とも言うべき、「資本主義が始まって以来資本家と労働者の格差は拡大してきた。」に大騒ぎだった。
当時は日頃このような内容とは無縁のTVや週刊誌まで騒いでいた。
「21世紀の資本」も興味があり、その解説書を買っていたが元々私にとって、経済学者やアナリストと呼ばれる人達は結果が外れでも責任を取らないいい加減な集団のイメージがあり、また余計な騒ぎのせいもあり当時は読む気にならず放置していたが昨今、アベノミクスの上から下へのマネーの流れを予測したトリクルダウンが不発に終わっている事やグローバル企業の圧倒的な利益額を見て、今こそ一度読んだ方がいいと思い、その気になって読み終えた。
「日本人のためのピケテイ入門」池田信夫著 東洋経済新報社 刊 である。
ピケテイ氏は今まで統計が不十分だった19世紀以降のデータを各国の税務データ等を用いて推計したりして、10年間かけて集め分析し、資本主義では歴史的に所得の格差が拡大しており、根本的矛盾の不等式が経験則から見て成り立っていると主張。
r > g r:資本収益率、 g:国民所得の成長率
資本、資産の収益の方が一般国民の所得を上回るので格差が拡大する。
この矛盾を是正するためタックスヘブン等に所得が逃避するのを防ぐ累進的なグローバル資本課税が必要と論じている。
また現状では教育と遺産相続が格差を拡大させておりこれらの社会的流動性を高くする施策が必要と示している。
◎こういう認識が各国である程度共有され各々個別で対応しようとしているがグローバル経済のなかで各国協調した処方箋が実行出来ない限り効果は限られる。
社会の中で格差が極端になると革命や、大変動が起きることは歴史が証明している。 単に騒ぎ立てるのではなく、限度を越える前に対策が可能となるよう先ず地道な合意形成が必要だろう。