一帯一路とシベリア鉄道

日経新聞の「中外時評」というコラムで、中国が進める一帯一路の陸上版、中国西部からヨーロッパへ抜ける約8500kmに及ぶ道路建設の内、ロシア国内を通過する部分、4車線2000kmの高速道路建設にロシアがゴーサインを出したニュースが載っている。

伸長する中国に比べロシアの経済的地位の低下は甚だしいがこの例としてシベリア鉄道が上がっている。

シベリア鉄道はヨーロッパとアジアを結ぶロシアの大陸横断鉄道だが2000年代前半運賃の安さもあり日本のメーカーや商社がこぞってヨーロッパやロシア向け商品の試験輸送に取り組んだものの、今は世界の物流から取り残された存在になっている。

私の勤務した会社も例外でなくそれ以前からシベリアにトライしていたがある時期日本製冷蔵庫の輸送で庫内のガラス棚が冷蔵庫の内壁を損傷させる問題が発生した。

当時はシベリア鉄道特有の長時間の低温環境と振動の影響と考えられ輸送手段や、ガラス棚形状、梱包方法を見直すことになったが内壁の損傷は振動試験では再現したものの程度は実際に起きたものより軽かった。

この記事にはシベリア鉄道の問題として輸送時の振動とあわせて、支線から来る別のコンテナ列車を連結する場合の衝撃で荷物が傷付いた問題が上がっており、この記述で昔の内壁損傷の疑問が解消した気がした。

あの損傷は長時間の振動で傷付いた内壁が貨物連結の衝撃で拡大したものに違いない。

日本の鉄道マンは列車を連結する際衝撃を最小にする事を当たり前に心掛けるがそれを前提に考えたのが間違いと遅まきながら今になって納得した。

インフラもそれを生かすのはオペレーション次第だとこのシベリア鉄道が語りかけている。

それにしても中・ロは長い国境を接し宿敵同士のはずだが昨今の蜜月はどうしたことか。アメリカを前に「敵の敵は味方」の論理だろうか。