再生可能エネルギーが注目されて久しいがここに来て風力発電のうちの洋上風力が脚光を浴びている。
私は以前から陸上風力のあの巨大な羽根が和歌山県や山口県の山の稜線でビュンビュン回る姿(羽根先端速度は新幹線より早い約350km/h)を見て耐久性が本当に確保できるのか、風力発電機の技術的な面からとても興味があった
最新の発電機は一基で8000キロワット迄の能力が既にあるらしく、場所の限られた陸上と異なり洋上では50ー100基並べる事が可能で、そうなると出力の安定性では劣るものの小型原子力発電所や火力発電所に匹敵する。
風力発電機は油圧で風見鶏のように向きを変えまた80m近くあるブレード(羽根)は風の強さに応じて傾きを変え効率を維持するようになっている。更に保守の為高さ100m近くにもなる中心部にはヘリコプターで人が降りて点検修理が出来る構造になっている。
この方式の品質信頼性の要は、回転を維持するための大型軸受けの信頼性と台風や長期の繰り返し風圧に耐えうる構造物の疲労強度にあると思っておりどちらも技術的難易度が極めて高い。私など現役時代、比べ物にならない小型製品だが、軸受けや構造物の疲労強度で大変苦労した覚えがある。
現状の洋上風力発電は欧州が先頭で次が中国であるが、技術的課題がクリア出来れば日本列島の周囲の海上を風車が取り囲む風景が将来見られるかもしれない。
この洋上風力発電事業には、あまり知られていないが三菱重工業もデンマークの企業と組んで参画しており独・シーメンス、米国・GE、と現時点での3強を構成している。
更に洋上風力発電は建設設置コストが重要だが建設船次第という面があり船舶技術に優れた日本企業に優位性がある。
材料開発、流体力学、機械工学等、日本の得意技術を網羅する成長期待分野であり、日の丸洋上風力発電の将来を楽しみにウオッチしている。