日本の劣化と米100俵

サンマルクカフェで読んだ週刊ダイヤモンド誌で、早稲田大学野口悠紀雄氏が「日本の劣化を阻止出来るか?」という題で寄稿されている。

先ず現状認識では以下の事例で日本の客観的評価の低下傾向を挙げ

文科省最新版「科学技術白書」日本の基礎研究の国際的地位の低下について危惧表明

日本の論文数 04年ー06年アメリカに次いで2位、14ー16年4位

日本の重要論文数04年ー06年世界4位、14ー16年9位

②スイスビジネススクールIMDによる19年世界競争力ランキング

日本30位、アジアでは1位シンガポール、2位香港、14位中国、16位台湾22位マレーシア、25位タイ、28位韓国

③THE(TimesHigherEducation)による19年世界大学ランキング

東大42位、京大65位、アジアでは22位中国・清華大、23位シンガポール国立大

併せて直近の日の丸液晶プロジェクトJDIの迷走を例にして半導体や液晶の不振は新製品開発能力の低下が原因としている。

この日本の劣化は多くの国民が現状への危機感を持っていないことにあり、現状を変えるための議論を選挙の争点として行うべきとしている。また一部に日本は成長を目指さないという意見もあるが成長しなければ劣化は進むと警鐘をならしている。

◎ 以下私見

 *日本の基礎研究力が衰えつつあるというのはノーベル賞受賞者が受賞後の会見で異口同音に言われることであるがこの基礎的な研究を拡大していくためには経済的な裏付け、成長が不可欠であり両者は表裏一体である。私の在職した会社でも基礎研究から応用研究へのシフトが成されたがその時期は日本の経済成長の停滞と同時期だった。

*以前「2位ではダメなんですか」と言った政治家がいたが1位を目指すことで初めて世界と戦えると言う事の本質が共通認識になっていない証左だろう。

*いわゆる越後長岡藩の「米100俵」の話はもらった米を今皆に別けて各々で食べて仕舞うかそれを我慢して将来の教育投資に振り向けるかの選択問題と思うが今こそ目先にあまりとらわれず、限りある  「米100俵」を将来のための基礎研究や、イノベーションのための基盤造りに重点的に振り向け成長を促すときと思う。