武士の起源とインデイアン

「武士の起源を解きあかす」桃崎有一郎著  筑摩書房刊  をようやく読み終えた。

武士の成立を今までの説にとらわれず実証的に解明し直したものである。内容が多岐に亘るため要約は難しいが概ね以下の過程と説明されている。

1、地方特に東国に於ける「有閑弓騎」豪族層による弓馬術の熟達

2、王家(天皇家)子孫の爆発的増加と地方への収奪 地方社会の混乱

3、地方豪族と王家子孫との結び付き、京を父地方を母としてハイブリッド化

4、権力側の取り込みと武士概念の創出

*新たに「有閑弓騎」と定義された、富裕層で馬を養い弓を射る技術の習得出来る地方豪族層だがこの考えは古代ギリシャやローマに始まる西洋の騎士の概念に当てはまる。馬に乗って武器を操る特に弓を射る技術は歩兵の戦闘技術と違い、幼少期からの鍛練によって初めて得られるものでこれには経済的な基盤が欠かせずこの点は洋の東西を問わない事が分かる。

*源氏や平氏天皇家子孫が増えすぎた事による財政負担を軽くするため家臣の籍に降下して得た姓であるが地方にとって大いなる負担となった側面が理解出来るし武士の棟梁と成りうる必然性も分かる。

*因みに鐙(あぶみ)は乗馬の際、足をのせて支える為、鞍から垂れ下がっているものだが、この発明で騎乗で弓を射るなどの戦闘行為が格段に進歩したと言われている。西部劇では殆どの場合騎兵隊は鐙有りだがインデイアンは鐙無しで乗馬している。開拓初期は使っていなくても見ればその効用に直ぐ気がつくと思うのだが、本当にインデイアンは最後まで鐙を使っていなかったのだろうか?