厚狭毛利家③幕末期の厚狭毛利の一断面

吉川弘文館発行「戊辰戦争の新視点」の下巻に収録されている柳澤京子氏の「長州藩慶応期軍制改革と藩正規軍」を読ませて貰った。

幕末期の厚狭毛利家の動向がわかる得難い資料である。

従来、幕末期の長州藩は下関攘夷戦争や四境戦争など藩をあげて身分を問わず一致団結して外敵に当たったかのように喧伝されてきて多少の違和感があったが、厚狭毛利家という毛利一門でも

1、230家ほどの家臣団がありながら編成を指示された銃隊・砲隊合わせて169人の        充足ができず農民取立てに依存している。

2、農兵のサボタージュ行動が頻繁に起こっている。

3、資金難による新式銃の不足。

のような実態であることが良く理解出来た。

大変残念ではあるが明治期に長州全体が大きく飛躍した中で厚狭が取り残された要因の一端が良く理解できる。

厚狭に残された史料を用いて此のような地味な研究をされる研究者がおられることは厚狭の出身者にとって大変有難い事です。